寒い季節に潜む危険!ヒートショックと溺水事故を防ぐために
冬になると増える事故の一つに「ヒートショック」があります。特に高齢者の方は注意が必要ですが、実は若い方でも発生するリスクがあるのをご存じでしょうか? 厚生労働省の調査によると、令和2年に「浴槽内での高齢者の死亡者数」は4,724人にも上り、これは交通事故死の約2倍に相当します。さらに、入浴事故による救急搬送のうち9割以上が死亡もしくは重症に至るという深刻な問題です。 では、なぜヒートショックが起こるのでしょうか?また、どのように予防すればよいのでしょうか?本記事では、ヒートショックの仕組みと対策について詳しく解説します。
ヒートショックとは?原因と危険性
ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、心臓や血管に強い負担がかかる現象です。
特に温度差が10度以上ある場所で起こりやすく、心筋梗塞や脳梗塞、失神、溺水など命に関わる事態を引き起こすこともあります。
画像引用:政府広報オンライン『交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意!』
ヒートショックが発生しやすいシチュエーション
次のような状況では、特に注意が必要です。
- 朝、布団から出た瞬間
- 部屋間を移動するとき:暖房の効いた部屋と寒い廊下・玄関との温度差
- 短時間の外出(ゴミ捨てや新聞を取りに行くとき)
- お風呂に入る前後
- 夜間のトイレ
特に高齢者、血圧が高い方、糖尿病や心疾患のある方は、ヒートショックの影響を受けやすいので要注意です。また、若い方でも飲酒後や食後にお風呂に入ると、血圧の変動が大きくなり、リスクが高まるので気をつけましょう。
ヒートショックを防ぐための5つの対策
1. 室内の温度を18℃以上に保つ
WHO(世界保健機関)では、冬場の室温は最低18℃以上を推奨しています。室温が16℃未満になると、呼吸器疾患のリスクが高まることがわかっています。家全体を適温に保つことが重要です。
2. 断熱リフォームや暖房器具を活用する
家の断熱性能を高めることで、部屋ごとの温度差を小さくできます。リフォームが難しい場合は、浴室や脱衣所、トイレにも暖房を設置するのがおすすめです。簡単に取り入れられる暖房器具としては、
- 脱衣所用の小型ヒーター
- トイレ用のパネルヒーター
- 玄関や廊下の温風ヒーター
などがあります。これらを活用し、寒暖差を減らしましょう。
3. 防寒対策を徹底する
冷えを防ぐため、
- 室内でも厚手のカーディガンや羽織物を着用する。
- 靴下やスリッパで足元の冷えを防ぐ。
- 寝る前に布団を温めておく(電気毛布や湯たんぽなど)。
といった対策を取りましょう。
4. お風呂の入り方に気をつける
ヒートショックを防ぐためには、入浴時の温度管理が重要です。
- お風呂の温度は41℃以下に設定する。
- 浴室と脱衣所を事前に暖めておく。
- お湯に浸かる時間は10分以内を目安にする。
- お風呂に入る前後にコップ1杯の水を飲む。
また、飲酒後の入浴は危険です。アルコールによって血管が拡張し、血圧の変動が激しくなるため、溺水や失神のリスクが高まります。
5. 家族の見守りを徹底する
高齢の家族がいる場合は、
- 入浴中は定期的に声をかける。
- 長時間お風呂に入っている場合は様子を確認する。
- トイレやお風呂場に緊急用の呼び出しボタンを設置する。
といった工夫をしましょう。万が一に備えて、すぐに対応できる体制を整えておくことが大切です。
寒い冬を安全に過ごすために
冬場は、私たちの体にとって大きな負担がかかる季節です。特に温度差の激しい環境では、健康リスクが高まるため、適切な対策が欠かせません。
ご自宅の暖房環境を見直し、日頃から防寒対策を意識しながら、家族みんなが安心して過ごせる冬にしましょう。